22.寝床騒動

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2006年6月

ミスと放出口配管最近、厩舎の通路や洗い場の通路の上方に細くて黒い配管をしている。何だろうと覗いてもさっぱりわからない。黒い配管の先をたどっていくとでっかい機械につながってて、その先は金魚くん達の池につながっている。一体何なんだろうこれ!SKさん説明してよ。

−訳者注:はいはい、これはミスト発生装置です。大気にミスト(霧)を噴出して、暑い夏を乗り切ろうというものです。機械で一定間隔をおいて細かいミストが放出されるようになっています。雰囲気を1〜2度下げる効果があるという評判ですが、果たしてどうなんでしょう。ミストが顔に当たると「冷や!」としますが、まあ一瞬です。無いよりはあった方がいいかなという感じがします。でも、乗馬クラブがいろいろと策を講じて、馬達に快適な夏をおくってもらおうとしていることは有り難いことです。

そうなんだ。確かに時々白い霧が出てるよね。暑がりの僕としては少しでも涼しくなってくれるなら大歓迎だよ。効果があるかどうかはしばらく様子を見させてもらうよ。


2006年7月7日

なんかさあ、今日はダルイんだよね。食欲もないし、頭もボーとして運動もしたくないし、一体どうしたんだろう。夏ばてかなあ。

−訳者注:こういうときは熱発が疑われます。この日夜、訳者が飲み会から帰宅すると、留守電にスタッフのIさんから「マイヨジョーヌが発熱したけど、処置をしたからご心配なく」との連絡。さすがに飲んでいるので乗馬クラブに車で駆けつけるのは控えて様子見となりましたが心配でした。でも、土曜日に乗馬クラブへ行ったときにはすっかり元に戻っていました。しかし、それまで食事制限(基本的には最初は絶食です。運動できないので段々と食事を増やしていきます)をしていたのでその日も乗馬・運動は控えました。

だいたい馬の体温は個体差はありますが、38度弱といわれています。馬の体温測定は直腸で行います、お尻に手で体温計をつっこんで計ります。馬も体温を汗をかくことで調節します。でも、病気の発熱は汗では解決しませんね。体温が人間より若干高いので、馬の体を触ると暖かいです。冬はカイロ代わり(笑)夏は、、、近づきません(大笑)

今年もまた暑い夏がやってきます。今年は担当のITさんの薦めで、添加物を「ジュビナールPLUS」というものに替えました。従来の粉から、今度は黒い液体になりました。嗅ぐと甘いにおいがします。ハエが寄ってこないか、それが心配です。


2006年7月17日

僕の部屋は綺麗だよ乗馬クラブでは、僕たちの部屋には材木を削った「おがくず」を入れてあるんだ。牧場では干草を入れてるのは知ってるよね。乗馬クラブでは干草が身近に手に入らないし、ましてや乾かして何度も使うことも難しいので、「おがくず」にしているそうなんだ。 で、ちょうど半年くらい前から僕の乗馬クラブでは黒っぽい「おがくず」が時々使われるようになった。これって、変なにおいがするし、いままでの「おがくず」のふわふわしたのに比べて園芸の土みたいに重くて寝心地悪いんだよなあ。一体何考えてるんだよー、僕はいやだよーこんなの。

−訳者注:詳しいことは差し触りがあるので書けませんが、いままで使っていたふわふわした「おがくず」(皆は、「引き粉」と呼んでいます)を、これまでとは別の新しい引き粉に変更することを、乗馬クラブが強行しようとしました。マイヨジョーヌも変な臭いがすると言っているように、自馬オーナーの人たちもこれは承服できないため抵抗し、結果的に不本意ながら自馬オーナー持ちの馬たちにはこれまで通りの「おがくず引き粉」を使うようになりました。でも、クラブ所有の馬たちにはオーナーの意向を反映できず、新しい引き粉を使うことになり、可愛そうなことをしました。

(2008/3追記:このところクラブ所有馬の馬房にも臭いのない良好な引き粉が使われているようで安心しています)。


2006年10月8日

今週は近くの馬房に住んでいるFトコルくんが大変だったんだ。エサを喉に詰まらせて窒息するところだったんだよ。Fトコルくんは僕より1歳年上の18歳。彼は元気な馬で、食事もバリバリ食べるんだよ。どうやら張り切ってエサを食べて喉に詰まったそうだ。担当の人たちが右往左往してた。最後は、白い服のおじさんがやってきてワーワーやってたけど無事に詰まったエサを取り出してくれたようだ。

−訳者注:馬も人間も同じで歳をとるとだんだんと喉の筋肉も柔軟性がなくなってくるのでしょうか。このときFトコルくんが喉にえさを詰まらせた原因は暴食だと思います。基本的に馬のエサは、栄養価の高いペレットと、草を固めたヘイキューブと呼ばれる四角柱の形をしたエサを与えます。さらに、干草。夏場は岩塩を一握り。これが基本です。Fトコルくんはペレットを飲み込むように食べたため喉に詰まらせたようです。この日、たまたま来ていたお医者さんがチューブを差し込んで取り除いたそうです。お医者さんがいなかったらどうなっていたか。Fトコルくんは以前にも、エサを詰まらせることがあったようですが、この日はスタッフでも手に負えない状態だったようです。日頃から馬の様子を観察しておくことが大切ですね。この事件以来、Fトコルくんのエサは水につけてふやかす(「ダボ飼い」と呼んでいます)ようになりました。


2006年10月22日

左隣の馬房のDヤングくんが月末にお別れだそう。オーナーさんがクラブスタッフと喧嘩して他の乗馬クラブに移籍だそうだよ。さみしいなー。僕がここのクラブに移って来てからずっとお隣だったからもう13年だよ。こんな形でお別れは寂しいよね。

−訳者注:最近、自馬オーナー付きの馬の移籍が続いています。原因はどこにあるのでしょうか。これ以上の言及は避けておきます。

馬の移籍・移動は競馬社会では良くあるようです。しかし、これは若い馬たちです。一方、乗馬クラブの馬たちはクラブに来てからは移動はありません。馬の競技会に頻繁に参加している馬はしょっちゅう馬運車に乗せられて移動していますが、普通の馬が移動することは滅多にはありません。マイヨジョーヌは今年で17歳。1993年にこのクラブに移動してきてから移動したことはありません。いまでは、競技会に参加する馬を乗せるため、馬運車が乗馬クラブにやってくるのにたまに鉢合わせすることがあると、その時は露骨に尻込みします。馬運車に乗せられるとどこかに連れて行かれるというトラウマがあるのかもしれません。

乗馬クラブの馬は若くても10歳前後、歳を取った馬だと20歳以上の馬も沢山います。長年過ごした環境に慣れてしまい、歳をとってから環境が変わるとなじめずに病気になったりする馬もいるということです。かくいう、このDヤングくんはこの時20歳、移籍先の乗馬クラブへ移動1週間後に亡くなったと聞いて、環境の変化が馬に与えるストレスがどんなに大きいのかが分かった次第です。マイヨジョーヌも気をつけてやらねばと思います。


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